目次
朝の経済レポート
経済・為替市況 2025年11月25日(火) | 市場動向と経済指標カレンダー
🎯 本日の最重要注目ポイント
- FRBの利下げ観測と市場の反応: 米国市場の上昇とドルの動向の主要因であり、FRB高官のハト派発言が市場の利下げ期待を大きく高めています。今後の市場の方向性を大きく左右する要因として注目されます。
- ロシア・ウクライナ和平交渉への期待と原油・金価格への影響: 地政学的リスクの緩和期待は原油価格や金価格に影響を与え、世界の供給量増加への思惑が原油価格に下押し圧力をかける一方、リスク資産全体のリスクセンチメントに影響を与える可能性があります。
- ビットコインの大幅下落とETFからの資金流出: 米国の利下げ期待後退とビットコインETFからの大規模な資金流出が重なり、ビットコイン市場は「極度の恐怖」状態にあります。この動向は、一部の投資家のリスク回避姿勢を強め、他のリスク資産にも波及する可能性があります。
🇺🇸 米国経済・為替
動向: 2025年11月24日の米国株式市場は、感謝祭の祝日を控えつつも株価が上昇しました。S&P 500は1.5%上昇、ダウ・ジョーンズ工業株平均は202ポイント高、ナスダック総合指数は2.7%高で取引を終えました。これは、FRBが12月に利下げを行う可能性への期待が高まったこと、FRB高官の一部が労働市場の軟化を理由に利下げを支持する発言をしたことが背景にあります。AI関連のハイテク株(エヌビディア、Googleなど)が引き続き好調で、AIバブルへの懸念が後退している可能性が示唆されました。債券市場では10年物国債利回りが4.03%に低下し、緩和しました。
見通し: FRBの利下げ時期を巡るFRB内部での意見の相違や、政府機関閉鎖により遅れていた経済指標の発表が今後の市場に影響を与える可能性があります。投資家は引き続きFRBの動向と主要経済指標を注視するでしょう。
🇯🇵 日本経済・為替
動向: 2025年11月24日は「勤労感謝の日」の振替休日であったため、日本の株式市場は休場でした。しかし、東京外国為替市場ではドル円が底堅く推移し、1ドル156.83円とドル高水準でした。海外勢を中心に円安を見込む動きが多く、欧州勢の参入後は円売り・ドル買いが進みました。海外市場では、同日の米国株式市場で主要3指数が揃って上昇し、特にFRBの追加利下げ観測の高まりを受けハイテク株が上昇。この米株高を受けて、シカゴ日経平均先物は大阪取引所の終値と比較して745円高の49,525円で取引を終えました。
見通し: 米国市場の上昇を受けて、日本の株式市場も週明け以降は好調なスタートが予想されます。ただし、高市政権の「積極財政」による日本の財政悪化への懸念や、緩和的な金融政策と世界最低水準の金利を背景とした円安基調は継続すると見られ、日本当局による円買い介入の可能性も引き続き警戒されます。
🇨🇳 中国経済・為替
動向: 2025年11月24日の中国人民銀行による人民元対米ドルの中心レートは1ドル=7.0847元。経済は全体的に弱い動きが続いていますが、1月から9月期の累計実質GDP成長率は前年同期比+5.2%と、政府目標の「5%前後」を上回っています。しかし、10月の製造業PMIは7ヶ月連続で好不況の境目である50を下回り、非製造業PMIも低水準。不動産業・建設業はマイナス。内需は減速傾向ですが、外需は増加。米中貿易摩擦では、緊張緩和の兆しと追加関税の警告が混在しています。上海総合指数は小反発しましたが、AIへの過剰投資への懸念や経済の先行き不安が重しとなりました。
見通し: 中国人民銀行は緩和政策を継続し、2025年には積極的な財政・金融政策を通じて景気下支えを強化し、内需拡大に重点を置く方針です。しかし、消費者物価は上昇しているものの、デフレ圧力は依然として残っています。日本と中国を結ぶ航空路線の欠航が増加しており、中国政府による日本への渡航自粛呼びかけの影響も懸念されます。
🇪🇺 ユーロ圏経済・為替
動向: 2025年11月24日の欧州株式市場は、米FRBの利下げ期待とロシア・ウクライナ間の和平交渉への楽観的な見方から、株式市場を中心に上昇しました。ユーロ圏の主要株価指数であるEU50は0.26%上昇、汎欧州のSTOXX 600も0.3%上昇しました。テクノロジー株や銀行株が好調でした。一方、ドイツの11月IFO企業景況感指数は88.1となり、前月の88.4から悪化し、ドイツ企業の景況感の悪化が示されました。為替市場では、ユーロは対ドルで強含み、20時には1.1541ドルとなりました。しかし、ドイツのIFO悪化によりユーロは対ドル、対円で下落しました。
見通し: FRBの利下げ観測が継続する中、欧州市場もこの影響を受けやすい状況です。ドイツの景況感悪化はユーロ圏経済全体の回復に懸念材料となります。引き続き、FRBの金融政策動向とユーロ圏の主要経済指標に注目が集まります。
🇦🇺🇳🇿 オセアニア経済・為替
動向: オーストラリア準備銀行(RBA)は、11月3日から4日の理事会で市場予想通り政策金利を3.60%に据え置くことを決定しました。7月から9月期の消費者物価指数が予想を上回ったことで、利下げ期待は後退しています。豪ドル/円(AUD/JPY)は2025年11月24日21:59時点で101.22-101.27円で推移し、円安の進行により101円台半ばで底堅く推移しました。豪ドル/米ドル(AUD/USD)は0.6461米ドルで軟調な動きを見せました。
見通し: 国際通貨基金(IMF)は、インフレ再燃、生産性低下、金利上昇リスクを抑制するため、オーストラリアに対し包括的な税制改革と歳出の見直しを提言しており、政策課題が山積しています。NSW州のGSP成長率は全国で最も低い伸び率となる見込みで、経済成長の鈍化も懸念されます。RBAは利下げ期待が後退しているものの、今後のインフレ動向と経済指標に注目が集まります。
🥇 ゴールド & 🛢️ 原油
ゴールド: 2025年11月24日の金価格は、狭いレンジ内で堅調に推移し、スポット金価格は1トロイオンスあたり4040ドルから4080ドルの間で取引されました。FRBが12月に利下げを行うとの期待が高まり、金価格は4000ドルを下回った後に反発。FRBのウォラー理事のハト派発言が利下げ期待をさらに高めました。地政学的要因では、ロシア・ウクライナ間の和平交渉進展への楽観的な見方も影響を与えています。国内の金価格は、25日に大きく値上がりし、高値更新への期待が高まると予想されています。
原油 (WTI): 2025年11月24日のWTI原油価格は、前日からの上昇と月間での下落傾向が混在する動向を示し、1バレルあたり58ドルから59ドル前後で推移しました。ロシア・ウクライナ間の和平交渉進展への楽観的な見方は、世界の供給量増加への思惑が原油価格に下押し圧力をかけました。一方で、FRBの利下げ期待の高まりは「リスクオン」のセンチメントを広げ、原油価格を支援する要因となりました。非OPEC諸国からの供給増加と世界的な需要の低迷、そして来年にかけて在庫が増加するとの見通しが、価格の重しとなっています。
🪙 仮想通貨
BTC: 2025年11月24日のビットコイン価格は反落し、1ビットコインあたり86,116.69ドル(日本円で約13,503,958円)で推移しています。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測後退がリスク資産全般の魅力を低下させ、米国上場のビットコインETFからは月間で35億ドルを超える資金が流出しました。これにより、ビットコイン市場は「極度の恐怖」状態に陥り、短期保有者は1日あたり6.3億ドルの実現損失を計上しています。相対力指数(RSI)が「極度の売られ過ぎ」レベルに達した後に反発の動きも見られましたが、長引く売り圧力により、ビットコインは2022年以来で最悪の月となる見通しです。
🗓️ 本日発表予定の主要経済指標 (完全版)
| 時刻 | 国 | 指標名/発言者 | 前回 | 予想 | 重要度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 16:45 | 🇫🇷 | 11月消費者信頼感指数 | 90 | 90 | ★ |
| 22:30 | 🇺🇸 | 9月卸売物価指数(PPI)(前月比) | -0.1% | 0.3% | ★★ |
| 22:30 | 🇺🇸 | 9月卸売物価指数(PPI)(前年同月比) | 2.6% | 2.6% | ★★ |
| 22:30 | 🇺🇸 | 9月卸売物価指数(PPIコア指数、食品・エネルギー除く)(前月比) | -0.1% | 0.2% | ★★ |
| 22:30 | 🇺🇸 | 9月卸売物価指数(PPIコア指数、食品・エネルギー除く)(前年同月比) | 2.8% | 2.7% | ★★ |
| 23:00 | 🇺🇸 | 9月ケース・シラー米住宅価格指数(前年同月比) | 1.6% | 1.4% | ★★ |
| 23:00 | 🇺🇸 | 9月住宅価格指数(前月比) | 0.4% | 0.2% | ★ |
| 23:00 | 🇺🇸 | 7-9月期四半期住宅価格指数(前期比) | 0.0% | — | ★ |
| 24:00 | 🇺🇸 | 11月リッチモンド連銀製造業指数 | -4 | -5 | ★★ |
| 24:00 | 🇺🇸 | 11月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード) | 94.6 | 93.4 | ★★ |
| 24:00 | 🇺🇸 | 10月住宅販売保留指数(前月比) | 0.0% | 0.2% | ★★ |
| 24:00 | 🇺🇸 | 10月住宅販売保留指数(前年同月比) | 1.5% | — | ★★ |
| 24:00 | 🇺🇸 | 8月企業在庫(前月比) | 0.2% | 0.0% | ★ |
注記:
本日はFRBメンバーの講演予定はありません。
