目次
朝の経済レポート
経済・為替市況 2025年11月19日(水) | 市場動向と経済指標カレンダー
🎯 本日の最重要注目ポイント
- 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨公表: 米国の金融政策の方向性を示す重要な手がかりとなり、市場の利下げ期待に大きな影響を与える可能性があります。
- ユーロ圏10月消費者物価指数(HICP、改定値): ユーロ圏のインフレ動向を測る上で極めて重要な指標であり、欧州中央銀行(ECB)の金融政策判断に影響を与えます。
- FRB高官の利下げ慎重発言とAI関連株の調整: 前日の市場を大きく動かした要因であり、今後の市場の方向性を占う上で引き続き注目されます。
🇺🇸 米国経済・為替
動向: 2025年11月18日の米国株式市場は、主要3指数(ダウ、S&P500、ナスダック)が揃って下落し、投資家のリスク回避姿勢が鮮明となりました。ダウ平均は1.07%安、S&P500は0.83%安、ナスダックは1.21%安で取引を終えました。FRB高官による利下げに慎重な発言や、エヌビディアの決算発表を控えたAI関連銘柄の割高感への警戒が市場を押し下げました。ビットコイン価格が一時9万ドルを割り込んだことも、リスクオフの流れを強めました。
見通し: 今週は延期されていた9月の米雇用統計やエヌビディアの決算発表が予定されており、市場はこれらの結果を注視しています。FRBの金融政策に関する不透明感も継続しており、経済指標や要人発言に注目が集まります。
🇯🇵 日本経済・為替
動向: 2025年11月18日の日本市場は、日経平均株価が大幅に3日続落し、前日比1,620円安の48,702円で取引を終え、10月24日以来16日ぶりに5万円台を割り込みました。東証株価指数(TOPIX)も3日続落。米国の利下げ観測後退、高市政権の中国対応への不安感、過度な財政出動への懸念、中国関連のリスク、AI関連株の調整などが市場全体の下落要因となりました。為替市場では、円安が急速に進み、対ユーロで180円台、対ドルで155円台を記録しました。
見通し: 日本の株式市場は不安定な状態が続いており、高市政権への期待の一巡や、AI関連株の上昇一服、米国の早期追加利下げ観測の後退などが要因とされています。国内の7-9月期実質GDPが6四半期ぶりのマイナス成長となったことも、経済対策の検討に影響を与えています。
🇨🇳 中国経済・為替
動向: 2025年11月18日、KPMGの報告によると、中国経済は2025年の年間GDP成長率目標である約5%の達成に向けて順調に推移しており、第1四半期から第3四半期の実質GDPは前年同期比5.2%増加しました。工業生産も好調です。しかし、輸出、工場受注、小売売上、自動車購入の低迷に加え、過去5年以上で最も弱い固定資産投資など、複数の課題に直面しています。人民元中心レートは1米ドル=7.0856元。米ドル/人民元(USD/CNY)はややドル高の動きが見られ、人民元/円(CNY/JPY)は21.840円付近で取引され、元高円安の傾向が見られました。
見通し: 第4四半期には財政・金融政策の協調効果により内需の回復が見込まれています。一方で、デフレ懸念や日本のような「失われた10年」に陥る可能性も指摘されており、成長鈍化と消費の弱さが懸念材料です。中国政府は、日本への渡航自粛を呼びかけたことで、日本経済に1.7兆円の損失が生じる試算も報じられています。
🇪🇺 ユーロ圏経済・為替
動向: 2025年11月18日の欧州株式市場は、世界的なリスク回避の動きが強まる中で、主要指数が軒並み下落し、軟調な展開となりました。FTSE100指数は0.24%安、ドイツDAX指数は1.20%安、フランスCAC40指数は0.63%安で取引を終えました。ユーロ/円は堅調に推移し、一時180円08銭近辺まで上昇し、史上最高値を更新しました。これは、日本銀行の早期利上げ観測の後退による円キャリー取引の活発化が背景にあります。一方、ユーロ/ドルはドル売り後退により1.1606ドルから1.1580ドルまで下落し、ドルに対して弱含みで推移しました。
見通し: 今週は世界的に株安連鎖となっており、AIバブル崩壊との声も聞かれる中で、高リスク資産である暗号資産や、本来は安全資産である金相場にも売り圧力がかかりました。このようなリスク回避の動きが欧州市場全体を軟調にさせています。英国の消費者物価指数(CPI)の発表が翌日に控えており、市場の注目が集まっています。
🇦🇺🇳🇿 オセアニア経済・為替
動向: 2025年11月18日、オーストラリア準備銀行(RBA)は11月の金融政策理事会議事要旨を公表し、政策金利を3.60%で据え置くことを決定しました。インフレ懸念は依然として存在し、基礎的なインフレ圧力が以前の評価よりも大きい可能性が指摘されています。11月の消費者信頼感指数は103.8に上昇し、2022年2月以来3年9カ月ぶりに100を上回りました。10月の失業率は4.3%と、9月の4.5%からわずかに低下しました。為替市場では、オーストラリアドル(AUD)は米ドル(USD)に対して軟調な動きを見せ、AUD/USDは0.6477付近で取引され、0.23%下落しました。AUD/JPYは2日連続で下落圧力を受け、最近の高値101.80から後退し、心理的な節目である100.00に近づいています。
見通し: RBAは、経済の余剰生産能力、労働市場の見通し、金融政策の引き締め度合いを評価する上で忍耐強く対応する姿勢を示しており、経済見通しには上振れ・下振れ双方のリスクがあるとしています。オーストラリア経済は、住宅価格の高騰、急速な移民増加、資源への依存、政治的停滞といった構造的なリスクに直面しています。全体として、リスク回避の動きから、AUDのような景気循環型通貨は軟調に推移する可能性があります。
🥇 ゴールド & 🛢️ 原油
ゴールド: 2025年11月18日の金価格は、日本国内の小売価格で1グラムあたり22,060円から22,225円前後で推移しました。ニューヨーク貴金属市場では、12月限の先物価格は前営業日比19.7ドル安の4,074.5ドルとなりました。価格下落の主な要因は、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ観測の後退です。FRB高官からの早期利下げに慎重な発言が相次ぎ、金利を生まない金への魅力が相対的に低下し、売りが優勢となりました。
原油 (WTI): 2025年11月18日のWTI原油価格は、供給過剰への懸念とロシアの主要輸出拠点からの供給再開により、全体的に下落傾向または弱気な動きを見せました。WTI原油は1バレルあたり約58.64ドルで取引されており、NYMEXのWTI原油先物12月限は、前日比0.82%安の59.42ドルで取引を終えました。INGのレポートでは2026年までの供給過剰が予測され、OPECおよび非OPEC産油国による増産も、需要の伸びの鈍化と相まって、市場の弱気な見方を強めました。
🪙 仮想通貨
BTC: 2025年11月18日、ビットコインの価格は大幅な下落を見せ、一時89,426ドルまで落ち込み、9万ドルを割り込みました。これは2025年4月以来の安値となります。米国のAIバブル懸念の高まりや追加利下げ期待の後退によるハイテク株安、それに伴うリスクオフの流れが仮想通貨市場にも波及したことが主な要因とされています。また、米連邦準備制度理事会(FRB)が12月に利下げをさらに行わないのではないかという懸念や、ビットコイン現物ETFへの資金流入の減少も下落に寄与しています。ビットコインは月間で15.47%下落し、年初来では0.67%の下落となり、今年の年初来の利益は帳消しになりました。
🗓️ 本日発表予定の主要経済指標 (完全版)
| 時刻 | 国 | 指標名/発言者 | 予想 | 重要度 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 06:45 | 🇳🇿 | 7-9月期四半期卸売物価指数(PPI)(前期比) | 0.6% | -- | ★★ |
| 08:50 | 🇯🇵 | 9月機械受注(前月比) | -0.9% | 2.3% | ★★ |
| 08:50 | 🇯🇵 | 9月機械受注(前年同月比) | 1.6% | 4.9% | ★★ |
| 08:50 | 🇯🇵 | 10月貿易統計(通関ベース、季調前) | -2346億円 | -2842億円 | ★ |
| 08:50 | 🇯🇵 | 10月貿易統計(通関ベース、季調済) | -3143億円 | -1271億円 | ★ |
| 09:30 | 🇦🇺 | 7-9月期四半期賃金指数(前期比) | 0.8% | 0.8% | ★★ |
| 16:00 | 🇬🇧 | 10月消費者物価指数(CPI)(前月比) | 0.0% | 0.3% | ★★ |
| 16:00 | 🇬🇧 | 10月消費者物価指数(CPI)(前年同月比) | 3.8% | 3.5% | ★★ |
| 16:00 | 🇬🇧 | 10月消費者物価指数(CPIコア指数)(前年同月比) | 3.5% | 3.4% | ★★ |
| 16:00 | 🇬🇧 | 10月小売物価指数(RPI)(前月比) | -0.4% | 0.3% | ★ |
| 16:00 | 🇬🇧 | 10月小売物価指数(RPI)(前年同月比) | 4.5% | 4.3% | ★ |
| 18:00 | 🇪🇺 | 9月経常収支(季調済) | 119億ユーロ | -- | ★ |
| 19:00 | 🇪🇺 | 10月消費者物価指数(HICP、改定値)(前年同月比) | 2.1% | 2.1% | ★★★ |
| 19:00 | 🇪🇺 | 10月消費者物価指数(HICPコア指数、改定値)(前年同月比) | 2.4% | 2.4% | ★★★ |
| 21:00 | 🇺🇸 | MBA住宅ローン申請指数(前週比) | 0.6% | -- | ★ |
| 22:30 | 🇺🇸 | 8月貿易収支 | -783億ドル | -607億ドル | ★★ |
| 22:30 | 🇺🇸 | 10月住宅着工件数(前月比) | -- | -- | ★★ |
| 22:30 | 🇺🇸 | 10月住宅着工件数(年率換算件数) | -- | -- | ★★ |
| 22:30 | 🇺🇸 | 10月建設許可件数(前月比) | -- | -- | ★★ |
| 22:30 | 🇺🇸 | 10月建設許可件数(年率換算件数) | -- | -- | ★★ |
| 04:00 (翌日) | 🇺🇸 | 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨 | -- | -- | ★★★ |
注記:
本日はFRBメンバーの講演予定はありません。