目次
朝の経済レポート
経済・為替市況 2026年06月11日(木) | 市場動向と経済指標カレンダー
🎯 本日の最重要注目ポイント
- 米軍 イランへ報復空爆(6/10 6:00 JST): 米中央軍が6月10日午前6時(JST)よりイランへの自衛攻撃を開始。WTI原油が前日比+5.76%の93ドル台に急騰し、ダウ平均は2026年2番目の下げ幅(▲1.9%)を記録。世界的リスクオフが進行した。
- ECB金利決定 本日21:15 JST: 欧州中銀は本日21:15に政策金利を発表。市場は25bpの利上げ(預金金利2.00%→2.25%)を確率99.6%で織り込み済み。中東エネルギー危機によるインフレ圧力の高止まりが背景。ラガルド総裁会見(22:30頃)にも注目。
- 米5月PPI 本日21:30 JST: 米生産者物価指数(前月比+0.7%予想)を発表。前回+1.4%からの鈍化が確認できるかが焦点。昨日の米5月CPI(ほぼ予想通り)に続く物価指標として、FRBの次の一手を占う重要データ。
- 植田日銀総裁 入院・6月会合欠席へ: 植田和男総裁が肝嚢胞感染症で6/9より入院。6/15〜16の金融政策決定会合は1998年新日銀法施行後初の総裁欠席となり、8名の政策委員で採決。日銀の6月1.0%利上げ観測・国債買入調整の方針に変更なし。
- 昨日の市場 大幅下落: 日経平均64,179円(▲1,237円 ▲1.89%)、S&P500: 7,258.86(▲1.62%)、ダウ約49,906ドル(▲1.9%)と世界的なリスクオフ。WTI原油は88.20ドル(6/9終値)から93.28ドルへ急騰した。
🇺🇸 米国経済・為替
動向: 6月10日(水)の米国株式市場は大幅続落。米軍による対イラン報復空爆(日本時間午前6時開始)に反応し、ダウ平均は約49,906ドル(前日比▲966ドル、▲1.9%、2026年2番目の下げ幅)、S&P500は7,258.86(▲119.66、▲1.62%)と急落。ナスダック総合も1.5%超の大幅安となった。AIバリュエーション懸念に地政学リスクが重なり半導体・ITハイテクが売られた一方、不動産・ヘルスケア・素材は上昇とセクターローテーションが発生。午後に発表された米5月CPI(前月比+0.3%、前年比+4.2%)はほぼ予想通りで市場の反応は限定的。カナダBOCも予想通り2.25%据え置きを決定。USD/JPYは160.53円付近(前日比ほぼ横ばい)。「有事のドル買い」が入るものの、片山財務相の「断固たる措置」発言で介入警戒が上値を抑えている。
見通し: ドル円は159〜161円のレンジを想定。本日21:30の米5月PPI(前月比+0.7%予想)と21:15のECB金利決定が二大材料。PPIが予想を上回れば(前回+1.4%からの鈍化不十分)FRBの追加利上げ観測が強まりドル高・株安の展開となりやすい。一方、PPI鈍化確認なら短期的な米株反発と緩やかなドル安も。WTI原油が94ドル台と高止まりしており、エネルギー由来のインフレ長期化リスクは払拭されていない。米10年債入札(翌0:00 JST、390億ドル)の需要動向も要注視。
🇯🇵 日本経済・為替
動向: 6月10日(水)の日経平均は前日比▲1,237円(▲1.89%)の64,179円と大幅反落。前日の65,416円(+1,392円、+2.17%)からの急反落で、米軍によるイラン攻撃再開と米利上げ観測の再燃が売りを誘った。植田日銀総裁が肝嚢胞感染症の治療で6/9から入院。来週6/15〜16の金融政策決定会合は書面意見のみで欠席・8名採決(1998年新日銀法施行後初)となる見通し。日銀の6月1.0%利上げ・国債買入減額調整の方針は変わらないとされている。本日の日本発指標は景況判断BSI(重要度★)のみ。
見通し: 日経平均は63,500〜65,000円のレンジを想定。本日のECB25bp利上げが欧州株の下落を招けば連鎖安リスクがある。米PPIが予想通り鈍化すれば64,500〜65,000円圏への回復余地。最大リスクはイラン情勢のさらなる悪化でWTI原油が95ドルを突破する場合で、エネルギーコスト増・FRB利上げ長期化の複合シナリオが日本株の頭を強く押さえる。日銀の6月利上げ観測継続で円高圧力が底値支持として機能しやすいが、輸出株には重しとなる点に留意。
🇨🇳 中国経済・為替
動向: 上海総合指数は6月9日終値で4,010(+50.69、+1.28%)と堅調だったが、6月10日は米軍のイラン攻撃を受けたリスクオフムードで軟調推移となった。中国5月貿易収支は6月9日発表で1,054億ドルの黒字(予想923億ドルを大幅上回り)と、AI需要に牽引されたハイテク輸出の底堅さを確認。USD/CNHは6.783(+0.01%)と人民元は安定的に推移。
見通し: 本日は中国発の経済指標発表予定なし。WTI高騰は中国のエネルギーコスト増につながり景気への下押しリスク。一方、強い輸出が底値を支えており、人民元は6.78〜6.79のレンジを想定。米中貿易関係と中東情勢の動向が上海市場の方向性を左右する。
🇪🇺 ユーロ圏経済・為替
動向: 本日21:15(JST)にECB金融政策理事会の金利決定が発表される。市場は25bpの利上げ(主要リファイナンス金利2.15%→2.40%、預金金利2.00%→2.25%)をほぼ確実視(確率99.6%)。4月理事会での据え置きから一転、中東エネルギー危機に伴うインフレ圧力の高止まりと堅調な雇用が利上げ根拠。独4月製造業新規受注は▲3.8%(前月比、予想▲1.2%を大幅下回り、6/8発表)、独4月鉱工業生産は+0.4%(予想通り、6/9発表)とドイツ製造業の低迷が継続。EUR/USDは1.1532(▲0.05%)で小動き。
見通し: ECBが予想通り25bp利上げを実施すればEUR/USDは1.155〜1.17台への上昇余地。ラガルド総裁の記者会見(22:30頃)で「追加利上げも視野」と前向き姿勢が示されればユーロ買いが加速。「データ次第」の慎重姿勢なら上昇は1.155〜1.160で一服。ドイツ製造業の停滞とエネルギーコスト高が続く中、欧州成長率への下押し圧力は残る。なお英国GDP月次(4月分)は翌6/12(金)に発表予定。
🇦🇺🇳🇿 オセアニア経済・為替
動向: AUD/USDは0.6994(▲0.10%)、AUD/JPYは112.25(▲0.08%)、NZD/USDは0.5792(▲0.45%)、NZD/JPYは92.98(▲0.06%)といずれも小幅続落。中東リスクオフでコモディティ通貨全般が重い地合い。本日10:00(JST)に豪州の消費者インフレ期待(前回+5.6%)が発表される。中国5月貿易黒字(1,054億ドル)は豪州の対中資源輸出需要にとって中期的なプラス材料。
見通し: 豪州消費者インフレ期待が+6%を上回る場合、RBAの追加利上げ観測が再浮上しAUD/USDは0.70台回復の可能性。一方、世界的リスクオフが継続する限り0.695〜0.700が上値抵抗として機能しやすい。NZDも同様の構造で、NZD/USDは0.575〜0.585のレンジを想定。本日のECB・PPI結果後のリスクセンチメントがオセアニア通貨の短期方向性を決める。
🥇 ゴールド & 🛢️ 原油
ゴールド: 4,043ドル(▲28.0、▲0.69%)と小幅反落。米5月CPIが予想通りでドル安になったものの、インフレ懸念が過度に強まらなかったことで安全資産需要が一服。中東緊張(米軍のイラン攻撃)継続でフロアは強く4,000ドル割れは想定しにくい。本日のECB利上げ決定後にユーロが上昇すれば相対的なドル安から金価格を下支え。PPIが鈍化すれば4,100ドル超えも視野に入る。
原油(WTI): 94.29ドル(+1.01、+1.08%)と上昇継続。6月10日に米軍がイランへの報復空爆を開始したことで、前日(6/9)の88.20ドルから93.28ドルへ+5.08ドル(+5.76%)急騰後、本日もさらに上昇して94.29ドル台で推移。ホルムズ海峡の輸送リスクが意識されており、米原油在庫は▲723万バレルと大幅減少(6/10発表)で需要の強さも追い風。95ドル突破なら夏のインフレ再加速シナリオが現実味を帯びる。
🪙 仮想通貨
BTC: 61,491ドル(▲268、▲0.43%)と小幅続落。世界的リスクオフムードで機関投資家の慎重姿勢が続く。本日のECB・PPI結果後の市場のリスク感応度が短期の方向性を左右し、60,000〜63,000ドルのレンジを当面の想定とする。
🗓️ 本日発表予定の主要経済指標
| 時刻 | 国 | 指標名/発言者 | 前回 | 予想 | 重要度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 08:01 | 🇬🇧 | RICS住宅価格指数 | -35% | -32% | ★★ |
| 10:00 | 🇦🇺 | 消費者インフレ期待 | +5.6% | - | ★★ |
| 21:15 | 🇪🇺 | ECB政策金利(主要リファイナンス金利) | 2.15% | 2.40% | ★★★ |
| 21:15 | 🇪🇺 | ECB預金金利(中銀預金金利) | 2.00% | 2.25% | ★★★ |
| 21:30 | 🇺🇸 | 生産者物価指数 PPI(前月比) | +1.4% | +0.7% | ★★★ |
| 21:30 | 🇺🇸 | 生産者物価指数 PPI(前年比) | +6.0% | +6.4% | ★★ |
| 21:30 | 🇺🇸 | コアPPI(前月比) | +1.0% | +0.5% | ★★ |
| 21:30 | 🇺🇸 | 新規失業保険申請件数 | 22.5万件 | 22.0万件 | ★★★ |
| 21:30 | 🇨🇦 | 住宅建設許可(前月比) | +10.3% | -3.9% | ★★ |
| 23:30 | 🇺🇸 | EIA天然ガス貯蔵量変化(前週比) | +95bcf | +99bcf | ★★ |
注記:
重要度は★★★(最重要)、★★(注目)、★(参考)の3段階。時刻はすべてJST。南アフリカ・トルコは掲載対象外国のため除外。独4月製造業新規受注(▲3.8%MoM)は6月8日(月)発表済みのため除外。英国GDP月次(4月分)は翌6/12(金)発表予定。